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NHK短歌8月号
2013/08/04(Sun)


NHK短歌8月号のジセダイタンカのページに、
短歌七首「せっせっせ」+コラムを掲載していただきました。

お手にとった際はよろしくご覧くださいませ。
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かばん30朗読作品について
2013/06/11(Tue)
かばん30の感想も途中で止まってしまっていますが…
当日朗読に合わせて流してもらったムービーを、
YouTubeに限定公開しました。


「いとしい日々」伴風花
http://youtu.be/u28OwArKbQ0



子供たちの写真と大好きな曲「ほしのかずだけ(マユミーヌ)」に、
子育ての日々を詠んだ短歌を添えました。

5分弱なのでよかったらご笑覧ください。
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ありがとうかばん30②
2013/05/25(Sat)
カバン30


ずいぶん間が空いてしまいましたが、次はかばん30歌合せについて。

□ゲストの石川美南キャプテン率いる、
東直子、柳谷あゆみの「とりつくダマスカスしま」チーム
■同じくゲストの笹公人キャプテン率いる、
山田航、伊波真人の「シダックス」チームの対戦です。
くじ引きでまさかの女子チームと男子チームに分かれ、
始まる前から勝負の行方がうっすらと…

記憶がかなりあやしく、出演者の方々の発言はそのままではなく、
印象に残ったところだけかなり乱暴にまとめています。
あまりにちがっていたら教えてください。

◎題「いよいよ」
■「いよいよね」教室の窓に迫りくる宇宙母船につぶやくきみは
□ほんとうのことは言わない凧【ルビ;いかのぼり】いよいよ白い今日の空です

■チームが言い淀んでいるうちに、□チームは■の歌について、
「宇宙母船」という語はいいけれどと評価しつつ、
描かれている状況がいかにもすぎる、
お題の取り入れ方が単純すぎ、といきなり鮮やかな先制パンチ。
■チームもその後□の歌について、
全体が白っぽくてぼやける、アクセントがほしい、
二句までがどこにかかるかわからないなど意見するが、
ことごとく返り討ちにあい、
最後は笹キャプテン、■の歌は井辻朱美さんの作風受けているのでは、
かばん30周年を祝う気持ちも汲んでほしい、
と会場を沸かせる、でも事実上敗北宣言。
結果は会場の拍手で、短歌も批評も□チームの勝利。
作者は■笹公人□東直子

◎題「ひらく」
■冬晴れに逐はれし雪が開き癖なほらぬ『春と修羅』に滲みぬ
□大屋根をちいさくひらき夏の夜のグランドピアノは羽化するアゲハ

□チーム石川キャプテン、□の歌について、
グランドピアノをちいさくひらくときは静かな曲を弾くとき。
アゲハの羽化の静けさと聴覚的にもうまく合っている。
大小大小という視覚的な忙しさも必然によるもの、
と自チームの弱点をさりげなくカバーしながら、
読みを広げてくれるさすがの評。
■チームは羽化の時間帯などに言及するもやはりちょっと弱い。
■の歌については□チームから「開き癖」という言葉はいいが、
これを使いたかっただけという感じ。
雪が「逐はれし」という表現がしっくりこない、効果が感じられない、
など意見が出たが、
それは関東の人だから。「逐はれし」には雪国の人間の実感が込められている。
という山田航さんの反撃がかなりの説得力。
結局短歌は■、批評は□が勝利。批評は僅差でした。
作者は■山田航□伊波真人

◎題「かばん」
■情うすき人かもしれず空洞の多き鞄に用紙落とす手
□つつがなく故郷は暮れて万緑の駅舎に鞄売りかばん売る

ようやくエンジンがかかってきた感じの■チーム。
□の歌について、つつがなく、は置きにいってる感じ、
暮れと万緑の駅舎は情景的に合わない、鞄の表記を変えた意図が不明、
など次々と意見を出す。
■の歌については、「空洞の多きかばん」というのが、
ポケットが多い鞄なのか、それともたんに中身が少ない鞄なのか、
それによって情うすきと合っているのかどうか、
など議論が交わされました。
最後の「手」が致命的によくない、と、
結果的に自作をばっさり斬った柳谷さんの潔さもかっこよかった。
結果、短歌、批評とも■チームが勝利、
歌合せ全体の勝敗は結局じゃんけんで、
とりつくダマスカスしまチームの勝ちでした。

個人的には、美南ちゃんの美しい声と淀みない口調で、
駆け引きしながらも最終的に相手チームに致命傷を負わせる評、
笹さんの場を盛り上げるエンターテナーっぷり、
そして山田航さんの急加速具合がとても印象に残っています。

短歌は山田さんの「冬晴れに」と柳谷さんの「情うすき」が好きです。
開き癖がついているページは、『永訣の朝』がぴったり。
あめゆじゅとてちてけじゃ。切ないです。
そして用紙は婚姻届か、離婚届のような人生を決める紙。
そんな大事なものを裸で空っぽの鞄に無造作に落とす手は、
たしかに情うすきひとの手。本人は気付いていないだろうけれど。
観察眼が光ります。

ああ、面白かった。
でもこのレポートでどれぐらいあの面白さが伝わるだろう。。。
長くなりました。おわります。
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ありがとうかばん30①
2013/05/14(Tue)
昨日、所属誌「かばん」の30周年イベントに参加してきました。

本当にたくさんの方にご来場いただき、どうもありがとうございました。
そしてあれだけのイベントを作り上げてくださった高柳蕗子さん、西崎憲さんはじめ、
たくさんのスタッフのみなさん、どうもありがとうございました。

夢のような時間で記憶あやしいところも多々ありますが、
箇条書きで感想を書きたいと思います。

・トークショー「短歌の相談室」
穂村弘さん、佐藤弓生さん、佐藤文香さんが会員の質問に答えるコーナー。
面白くてためになる、素晴らしいトークショーでした。
佐藤文香さんのお話、はじめて聴いたのですが、
さすが俳句の人!って感じで、言葉にキレがあって無駄がなく、
すごく魅力的な方でした。
ざっくばらんなのにツボは丁寧に押さえていく話し方。
音楽PVを観ながら作句をするなど、実践的な話もされていて面白かったです。
引用も的確だったし、うんうんとすごく分かるお話でした。
穂村さんのお話の中では、自己完結と言われてしまう短歌について、
おなじ自己完結でも詠み手の姿勢によって読者の印象は全然異なる、
というのがすごく参考になりました。
読者として未知のものを提示されたとき、
それを作者も下から見上げているような敬虔さが感じ取れたら、
わからないものを提示されたことに対する苛立ちは少ないという。
そういった本質的な話を受けて、
弓生さんが丁寧に具体的なアドバイスをされていて、チームワークも絶妙でした。
生きてる文語と死んでる口語の話も面白かったなあ。
口語ベースの歌に違和感なく文語がなじんでいる歌はすごく魅力的だとおもう。
匙加減はとても難しいけれど…
会場質問から出た枕詞の話も面白かったです。
佐藤文香さんが俳句で枕詞と季語入れたら他に言うことなくなる(笑)と言いつつ、
でも枕詞に新しいいのち(だったかな。空気だったかな?)を吹き込めたら、と思って使う、
とおっしゃっていて、それもとても心に響きました。
言葉に新しいいのちを吹き込むって考え方、とっても素敵。

お三方の話をその場でまとめつつ進行された睦月都さんもすごかった!
お疲れさまでした。

そんな感じでスタートから非常に勉強になるお話がうかがえたトークショーでした。
そしてこのペースで書いていたら全部の感想書き終えるのに何日かかるのだろう。。。

ひとまず今日はここまでにします。


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かばん3月号
2013/03/22(Fri)
image.jpg

かばん3月号、今年度最後のかばんです。
編集部のみなさん一年間お疲れさまでした。
かばんは毎年編集長が変わるので4月からはまた表紙などガラリと変わるはず。
新しいかばんもまた楽しみです。

さて3月号、ゲストルームはひぐらしひなつさん。
もともと好きな歌人さんなのですが、久しぶりに作品を読めてうれしかったです

告げるべき別れ潰えて静けさのあふれるカフェに光るドーナツ
着地点見つけて赦されたようにセーターの腕を嗅いで笑った
観覧車は夏の遺骨として今も雷雨にずっとやられっぱなし

(「貝と椅子 」ひぐらしひなつ より)

会員の鳥栖なおこさんの短編「愛情伝達殺人 」 も怖くておもしろかった。

さて会員作品から五首選+αです。

着膨れで体がでかい(だからって強く見えないのが残念ね) 大澤サトシ
うーん。これは残念。残念感がすごく伝わってきます。
でも絶対いい人ですね。そして愛されている。
くだけた口語表現や終助詞などが、
主体のキャラクターと二人の関係をうまく描き出していています。
気持ちもほのぼの着膨れますね。

色漆の剥げかかりたる金剛力士 武者震いすればこの雪が降る 井辻朱美
うってかわってこちらの金剛力士は、色漆が剥げかかろうがすごい迫力。
無駄をこそげ落とした肉体の躍動感と静かに舞い落ちる雪の、
見事な対比、そしてマッチング。さすがです。

電源が切れて四角い暗闇に映ったぼくとすこし目が合う ながや宏高
そんなに特別な状況を詠んでいる訳ではないのに、
ちょっとねじれていて、落ち着かない。
うまく説明できませんが、
普段生活のなかでちょっとねじれた感じで現実を感受しても、
無意識に修正して生活しているようなところを丁寧に掬い取って歌にされていて、
読む側をぞわぞわさせてくれます。

こんな知識、人生で使うはずないと思うだろうし、だといいけれど。 柳谷あゆみ
「こんな知識、人生で使うはずない」という教わる側によくある価値観を、
教える側から書いているところが新鮮です。
そして、「だといいけれど。」がすごく怖い。
え、どんな知識!?と考えさせられます。

バゲットのにおいは不意にわたりきてすぎさきさんとささやく夕べ 飯島章友
「パン屋のパンセ」を読んだ人はみんなそうじゃないかな、
と思わせてくれる残された者たちにやさしい歌。
杉崎さんを知らない人にも「すぎさきさん」の人柄を思わせるのでは。
下句の「さ」音の多用が儚させつなさを増幅しています。

青空の青を映さぬ薄氷(ルビ:うすらひ)やスカイツリーは映ることあり 久保明
発見の歌。久保さんの下町を詠んだ歌がわたしの下町観を形成しています。

イヌワシは滑空をして金網にぶつからないのがすこし残念 山下一路
あー危ない!と思うとき、どこかでそうなることをかすかに期待していること、
確かにあるかもしれません。部外者の視線。

一夜明け辺りはいちめん雪となり美意識なるもの試されていた 十倉れい
雪景色の美しさを詠むのではないところがおもしろいです。
あるがままに世界を感受できず、
つねに自意識のフィルターを通して見てしまうかなしみ。


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