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かばん6月号*5首選
2008/06/23(Mon)

かばん6月号

歌誌「かばん」、今月は特集号です。しおたまこさんの表紙は今回もとってもおしゃれ。

特集は先日「伊藤整文学賞」を受賞した、穂村弘さんの『短歌の友人』特集です。
内外部評ともとても興味深く、読み応えがあります。
さらに穂村さんの書き下ろしエッセイ、「切れててほしい」も面白かったです。
たしかにそこは、切れててほしい。

また、今年度のかばんは「ゲストルーム」といってゲストの作品ページがあります。
今月のゲストは俳人の池田澄子さん。

立てば芍薬坐れば空の見える窓  池田澄子

俳句って清々しいですよね。心がふあーっと解放される感じがします。
ちなみに池田澄子さんとの出会いは次の俳句で、一発でファンになってしまいました。

じゃんけんで負けて蛍に生まれたの  池田澄子

さて、以下は会員作品から5首選です。

雲間から内臓のような色を見せ沈む日の下樹々はまだ冬  細田均

冬の重たい雲間から見えた夕空を「内臓」に喩えた眼力に脱帽です。
死んだように暗く厚い雲の奥に垣間見えた、マグマのような「生」。
いろいろな赤が混ざった映像がすごく生々しく迫ってきます。

巨大魚の鱗の如く照り映えて球場に鳴る千のメガホン  柴田瞳

この作品も比喩が秀逸です。
何色のメガホンなのかな、離れてみるとまさに「巨大魚の鱗」が波打つように見えますね。
「球場に鳴る」と聴覚を取り込んだことで、観客が一斉にメガホンを打つ動きが思い起こされ、
視覚的により鮮明になるという技ありの一首。

競争に負けたラーメン店の国道を徘徊老人競歩の一群  山下一路

「徘徊老人競歩の一群」というフレーズのパワーに圧倒されました。
重く暗くなりがちなテーマを、コミカルに、かつ力強く詠んでいて、そのバランスが絶妙です。
当事者の愚痴でもなく、また傍から見て嘲笑しているでもなく。
6首目には「全速力の火の車椅子」というフレーズもあり、こちらもすごくパワフル。

背きたい現実ひとつ蹴ちらして鬼さんこちら手の鳴るほうへ  コトハラアオイ

下句の童歌からの引用が一首の風通しをよくしていてすごく効いています。
「背きたい」現実に直面してそれを「蹴ちらし」、
さらに「鬼さんこちら」と何かを呼び込んでいるという、
ちょっとずつブレていくような矛盾した心の動きが面白いです。

ふと 別の人と歩くわたしが見えている かさぶたかと思う笑顔で  小島左

恋人と別れた悲しみに明け暮れている生活の中で、「ふと 別の人と歩くわたし」が見えた。
うたた寝のなかで見た夢か、あるいは現実に即した想像なのか。
だけど、新しい出会い、つながりにはまだ前向きにはなれないんですね。
前の恋の傷跡に無理やりかぶせたかのような「かさぶたかと思う笑顔」が、
すごく痛々しくてリアルな表現。
今月の小島左さんの作品は他の歌もとてもよかったです。

明日は暑くなるみたいですね。30℃超えそう。ちょっとわくわくします。
暑いのすきなんです。では。



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