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かばん4月号
2011/04/21(Thu)
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かばん4月号、表紙も春らしく色も素敵でワクワクしながら拝読しました。
今年度の表紙は会員のこずえユノさんです。

「新人賞へのアプローチ」では読み逃してしまった会員のみなさんの受賞作、候補作を、
一部ですが読むことができてよかったです。さすがに力作揃いで面白かったです。

おにぎりを握るかたちで近づいて蝉の幼虫見せてくれたね 若草のみち
(第25回短歌現代新人賞佳作「夏のえんぴつ」より)

小さく速いものが落ちてきてボールとなり運動場とそのまわりが夏だった フラワーしげる
(第53回短歌研究新人賞最終選考通過作品「世界の終わりとそのとなりの社員食堂」より)

続けて会員作品5首選+2首です。

川底の石が削れあうようにぼくらは歩いている途中 海へ 蓋炉郁
ぶつかり合いながら長い時間を共に過ごすうちにだんだんお互い角が取れてゆき、やがては海へ出る。
上句の破調は石が削れあいながら流れてゆく感じを、
下句の破調と一字空けは時間的空間的ひろがりを感じさせて効果的。
ぼくらはまだまだ歩いている途中なんですよね。

話したいことを逸らしていくようなカーブを描いてスケーターが立つ 柳谷あゆみ
スケーターというと一般的にはどういう人を指すのかわかりませんが、
私はスケボー(懐かしい!)をイメージしました。
あのカーブ、まさしく「話したいことを逸らしていくような」カーブで、
喩えがひっくり返っても成立する(話を逸らされたときにスケーターのカーブを想像させる)さすがの把握です。

放たれし鳥たちよわが手を離れ一点のあるがごとき静夜へ 山田航
一連全体から感じられる言葉の風圧がとにかくすごい!
伊津野重美さんや錦見映理子さんの作品に通ずるような、
ぜひとも朗読で聴きたくなる力強い韻律にうっとりしてしまいます。

お弁当ストーブのうえにおいておいたプチトマトは発毛していた 杉山モナミ
小学生の日記のような文体のなかに、何気ないふうに置かれた「発毛」という言葉の衝撃!
「発芽」じゃなくて「発毛」!しかも、たしかにしそう。
採らずにはいられなかった一首です。

この赤が誰に向けての赤なのかわからないままブレーキを踏む 睦月都
睦月さん、今月号がデビューとは思えない完成度の高さです。
なかでもこの歌は、若さ故のふてぶてしい感じがエッジの効いた表現によって、
スタイリッシュに仕上がっていて好きです。
定型をがっちり味方に付けている感じがしました。

ここまでで5首ですが、ほかにも心に留まった歌が…

バックミラー映し出す絵は異空間本当にここを抜けてきたのか ふらみらり
今月は心にひっかかる違和感に焦点をあてて描いた作品にいい作品が多く、とても惹かれました。

お互いに決することを避けたればぐだぐだになる鍋の春菊 山下一路
ほんと「ぐだぐだ」だぁ。
白菜じゃなくて春菊というところが「ぐだぐだ」の中にもちょっとだけスパイスが効いていいですね。
少なくとも主体は「ぐだぐだ」に対して意識的であることが伺えます。
春菊ってことはすき焼きでしょう、割り下が煮詰まる匂いまで感じるのは私だけでしょうか。

今月は4月号ということではじめましての方がたくさんいらっしゃるので、
ご挨拶を兼ねて一首ずつ選ばせていただきました。どうぞよろしくお願いします。

バファリンを空っぽにして寝返ってア行のものから抱き締めていく 村上高徳

坂道の上から流すメロンソーダ みどりの蛍光マーカーみたいで 谷川ゆうす

1Kのテレビに見られる生活は夢の中にも明石家さんま 菱谷杞子

寒いのは嫌いだけれど 富士山がきれいに見える だから許す、冬 坂田星子

その人の 一言で 私が変わる / 体育館の中 吹く風さやか 小椋洋子

「アンパンマンは正義の味方」じゃない場所もどこかにあっていいんじゃないか 野埜百合

浮き輪持ち 鎌倉駅から由比ガ浜 坂上遥か従姉妹が揺らぎ こまつかおり


好きな歌がたくさんありました。
これからまた読む楽しみが増えるのがうれしいです。
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